夜の聖者
沢田 研二(サワダケンジ)
飛ぶ鳥を落とす勢いだった70年代が終わり、ジャニーズアイドルやニューミュージック勢が台頭する時代になっても 「一等賞(ヒットチャート1位)」にこだわり、常に流行の先端の音楽を採り入れながら、それに合わせて自らの歌声を磨き続けた、ジュリーこと沢田研二。
記憶に今も残るのは、’83年紅白歌合戦での「晴れのちBLUE BOY」(詞:銀色夏生/曲:大沢誉志幸)。既にピークは過ぎつつあるはずのジュリーでしたが、その3分間だけは紅白がどこかに消し飛び、完全に「異世界」と化した圧巻のステージでした。直後にサザンの桑田佳祐は「紅白が何やってもいい所なんだとわかりました」と、ひょうきんに答えていましたが、直前の自分達の、当時としては大冒険だったパフォーマンスがすっかり食われた悔しさがにじんでいました。

最近では、ジョージ・ハリスンのトリビュートアルバム「Gentle Guitar Dreams」 で円熟した歌声を披露してくれています。一等賞争いに見切りを つけてからは、マイペースで渋い大人の歌を歌い続けているジュリー。でも流石にしたたかです。
このアルバムは、邦題からはとてもそうは思えませんが、全部ジャズ&ポップスのスタンダードのカヴァー。天衣無縫の訳詞は後に「いつも何度でも」を書いた覚和歌子
(下の邦題の横に白字でこっそり原題書いてあります。反転などなさると見やすいかも)
「夜の聖者」とは、なんと!スティーヴィー・Bのヒット曲「ビコーズ・アイ・ラヴ・ユー」!
(2003/4/29)
A SAINT IN THE NIGHT
1991/12/4 TOCT-6357 東芝EMI
1 誰かが僕を見つめてる Someone To Watch Over Me
2 薔薇の行方 Lover Man
3 あなたにはかなわない What'll I Do
4 愛の機械 Two Love Ways
5 この惑星(ほし)の終わりに As Time Goes By
6 昼下がりの情事 Facination
7 愛してからでは遅いよ One More Kiss Dear
8 天使になれない By Me A River
9 夜の聖者 Because I Love You
10 紅茶天国 Tea For Two
11 昨日のエデン Once Upon A Time
12 ロータスの子守歌 Lullaby In Ragtime

A SAINT IN THE NIGHT