も一度White Christmasの話

いいかげんしつこいね。私も。
この曲の話、本当にこれで最後にします。   (たぶん・・・)

先日、「ジャズ詩大全 別巻・クリスマス編」という本を遅まきながら入手しました。
ジャズ詩大全 別巻 クリスマス編 [増補改訂版] (村尾陸男:著 中央アート出版)

この本は、ジャズでよく取り上げられるクリスマスソングの歌詞を、日本語にただ訳しているだけではありません。
正しくその意味を理解するためには当然とばかり、歌の時代背景や作者の境遇などにも言及されている好著です。
私はただのクリスマス好きなのでこの「クリスマス編」しか持っていませんが、既に19巻(本巻17巻、別巻2巻)出ている大作。
論理的なのに堅苦しくない内容で、ジャズファンの方、英語を勉強されている方、皆様にお奨めしたい本です。

(2011/1/21追記:ついに20巻で完結したそうです。詳しくはこちら。)

さて、この本にも当然、「ホワイト・クリスマス」が取り上げられているんですが、そこには驚くべき事実が記載されていました。
この曲、翻訳するのに大変厳しい許可が必要だったということは以前からこのサイトでもお話ししていましたが、それどころではなく、
そもそも作詞者のアーヴィング・バーリン氏は
「自分の作品が他者作品と混載されることも認めていなかった」
そうなのです。
そのため、この本にも当初この曲の歌詞は掲載できなかったそうです。
著者の村尾氏はバーリン氏のこの所業を「馬鹿げたこと」と一喝されています。ごもっとも。

確かにいくつかのクリスマスアルバムには、White Christmasだけ「著作権の関係で」と歌詞を掲載していないものがあります。
その理由はこれだったんですね。

結局、バーリン氏の死後数年経った90年代半ば、著作権管理を引き継いだ遺族によりようやく混載が認められるようになったそうで、
お陰で私の入手した「ジャズ詩大全」2002年の第3刷には、「White Christmas」の歌詞が、ヴァース部も含めて追加されています。

恐らく翻訳に寛容になったのも、同じ時期なんでしょう。



と、話を繋いだところで、その後発見した日本語版です。

和田弘とマヒナ・スターズ 「ホワイト・クリスマス」
この曲は、だいぶ前に「Merry Christmas Baby」運営のShigaさんから教えていただきました。
でも一度ここで「この曲の話もう終わり」と言ってしまったために、いつご紹介しようか機会をうかがっていた次第。
Shigaさんによると、日本語詞は井田誠一という人で、
ジェリー・リー・ルイス「火の玉ロック」(♪火事だ、火事だよ〜半鐘を鳴らせよ!)
ディー・ディー・シャープ「マッシュポテトタイム」 (♪マッシュポテトのリズムで木魚叩けばイェイェイイェイ!)
などの名訳で名高い人だそうです。
残念ながら私自身は未聴。あまり突飛な歌詞ではないそうですが。
(2011/1/21追記:2004年にビクターよりリリースされた「ザ・クリスマス天国」にめでたく収録されました。)

水原弘 「ホワイト・クリスマス」
「おミズと加世ちゃんのクリスマス・イヴ」という極レア盤の中の1曲ですが、昨年東芝EMIよりリリースされた「ポップスヒストリー Vol.5」に
めでたく収録されました。
こちらは、永六輔の訳詞です。